恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第45章 4年後の茜色へ / 🔥✳︎✳︎
——— ♪
「あ、この曲好きです。EDM聴くと、私めちゃくちゃテンション上がるんです!この四つ打ちのリズムが高揚するんですよね」
カーステレオからは男性ボーカリストが歌う洋楽が流れている。
どうやら七瀬の気に入りの曲らしい。
「でも意外です、杏寿郎さんEDMも聴くなんて……」
「ははは、そうか!響凱先生から先日物凄く勧められたんだ。どうやらいたく崇拝しているらしい。日本人アーティストで尺八を吹く女性がいるようでな。彼女がこの曲をカバーしていたのを聴いたのがきっかけらしい」
「あ、なるほど!和から洋に興味かあ……」
「ダンスミュージックに限らず、伝統的な音楽と上手く融合しているのがとにかく素晴らしい!と力説された。そんなに言うなら…と聴いてみたら……」
「思いの外、ハマったんですね?でもこのメロディー中毒性があるからわかります……」
2人が聴いているのは「The Nights」と言う曲だ。
「この曲には父親と息子が出てくるんだ。対訳は…」
時間を無駄にするな。いつかお前もこの世を去る時が来る。だから生涯忘れられない人生を送れ。
「それから……消える事のない炎を灯せ、とも歌われている」
そんな話をかいつまんで、杏寿郎は恋人に伝えた。すると……
「ぐすっ……すみません、洋楽って日本語じゃないからどうしても曲先行で捉えがちなんですけど……何だか今の私には沁みます」
目尻から涙を一粒、また一粒流しながら、七瀬は指で涙を拭う。
「そうだな。恐らくこの曲に出てくる父の命は長くはないのでは…と俺は率直に思った。父上は幸い存命だが、もしこの歌詞のような心境になった時は……」
涙を流さずとも、横で泣いている七瀬ときっと同じように感じるのだろう。