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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第45章 4年後の茜色へ / 🔥✳︎✳︎



翌日の日曜日の早朝 ———

杏寿郎はゆっくりと瞼を開ける。すると視界に入って来るのは焦茶色の頭だ。

『よく眠っている…』
右掌で恋人の左頬をそっと包み込む。

『後3回。それが終われば七瀬と最低1ヶ月は会えない。大正時代から離れる事がなかった俺達だが………』

「君が寝ているから正直に言う。とても寂しいぞ、七瀬」

「んっ……杏寿ろ……さん、私のカステラ……食べないで」

感傷的になっていた杏寿郎の問いかけに見事ずれた寝言を返す七瀬。彼は思わず笑いが込み上げてしまった。


『本当にカステラに嫉妬してしまいそうだ』

むにゃむにゃとまだ少し口元を動かす小さな唇に、杏寿郎はそっと口付けを贈る。
恋人の頭を再度自分の胸に抱き寄せた彼は、もう一度両の瞼を閉じた。










「卒業したら真っ先に杏寿郎さんと来たかったんです!!」
七瀬が興奮気味に言葉を発した。

——— ここは横浜。

地上70階建て、超高層複合ビルの横浜ランドマークタワー。
山下公園、赤れんが倉庫、よこはまコスモワールド、カップヌードルミュージアムにパシフィコ横浜。

“横浜と言えばここ” そんな代名詞が付く施設が密集しているエリアである。

同日の午後。中華街で昼食を済ませた2人は散策の為、みなとみらいに来ていた。

「彼氏持ちの子が横浜行って来たよ〜って聞く度に良いなあって羨ましくて。今日やっと叶って、私本当に嬉しいです」

七瀬の左手はしっかりと杏寿郎の右手が繋いでいる。

「そんなに嬉しいのか?」

「もちろん!!だって行った子達、みんな惚気るんですもん。それ聞く度に私も卒業したら絶対……って心に決めてました」

「だから……大好きな杏寿郎さんと来れて幸せです」

にっこりと微笑む七瀬。
その笑顔を見ている杏寿郎の胸の中に一際あたたかい物が流れ込む。


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