恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第45章 4年後の茜色へ / 🔥✳︎✳︎
「あー!煉獄先生!……と、えっ七瀬??」
手合わせが終わった2人は汗をかいた体を綺麗にし、煉獄家と杏寿郎のマンションの丁度中間地点にあるスーパーに来ていた。
今夜の夕食の買い出しである。
と、そこへ1人の女子が2人に声をかけた。
彼女もまた七瀬と同じように高校を先日卒業した生徒だった。
「あ、香澄!こないだ振りだね……」
七瀬は繋がれた左手をスルッと離そうとしたが、隣にいる杏寿郎がそれを許してくれなかった。
「えっ、手を繋いでる??………2人ってやっぱり?」
「ちょっと待って!やっぱりって何?」
★
“知らぬは本人達のみ”
こんな言葉をあらゆる場面で耳にする事が多いが、七瀬と杏寿郎にも見事にあてはまっていた。
「絶対みんなが見ている所ではバレてないと思ってたのに……どうしてでしょうね?」
「う……む。俺も流石に驚いた!」
『いつからだったかなあ。あ、そうだよ!2年生の時だ。先生と七瀬がね、夏休み前に補講していた時があったじゃない?その時教室の前を通りかかった子が言うには……』
「あの時の会話って本当に先生と生徒だったのに。やりとりがどこか艶っぽかったって……伝わってしまう物なのかな?」
七瀬は買い物カゴからエコバッグに食品を詰めながら、杏寿郎に問いかけた。
「俺達が気づかない内に何か伝わる物があったのかもしれん。であるとするなら、卒業まで皆に黙っていてくれた事には感謝せねばな!」
「ふふ、本当にその通りですね」
購入した物を全て詰め込み、七瀬が1つ肩にかけようとするとすかさず杏寿郎がそのエコバッグを奪う。
「いつも母と買いに来る時は、私が持ってますよ?」
「今は俺がいるだろう?こう言う時は任せて欲しい」
ほら、と決して軽くはないエコバッグを1つ左手に持つと、彼は右手を七瀬に差し出した。
「俺の右手は君の左手を繋ぐ為にあるからな!」