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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第45章 4年後の茜色へ / 🔥✳︎✳︎



「帰京した時は……毎回お願いしても良いですか?」
「無論!言われずとも、そのつもりだぞ?」

2人の間に笑顔が生まれる。その後に交わされるのは柔らかい口付けだ。


「行くか。我が家に」
「はい……」

ソファーから立ち上がった七瀬と杏寿郎は、衣服の上に春用のジャケットを羽織り、手を繋いで玄関に向かう。













「七瀬さん、高校卒業おめでとう!」
「おめでとうこざいます、大人への大切な一歩ですね」
「ご卒業おめでとうございます!」

ここは煉獄家の和室。槇寿郎、瑠火、千寿郎から祝いの言葉を受けた七瀬は「ありがとうございます」と礼を伝え、3人に頭を下げる。

座卓の上には瑠火と千寿郎が作った、いわゆる”ハレの日”用の食事が乗せられていた。

大皿の真ん中にどどんと鎮座しているのは、アクアパッツァだ。


「うわあ……鯛なんて良かったんですか?作るのも大変だったんじゃ……」

「ふふ、七瀬さん。アクアパッツァは案外手間要らずのレシピなんです」

「母上のおっしゃる通りですよ、だからそんなに気にされなくても大丈夫です」

恐縮しっぱなしの七瀬に”お気遣いなく”の意味を込め、そう発言したのは杏寿郎の母の瑠火と彼の弟の千寿郎だ。

「今度長期の休みに帰京された時にでも、一緒に作りますか?」
瑠火からの願ってもない誘いにみるみる内に笑顔になる七瀬。

「七瀬さん」
槇寿郎に名前を呼ばれた彼女は一度食べるのを止め、彼の顔を見る。穏やかな表情だった。

「はい」
「大正の頃から俺と千寿郎は君と過ごして来たが……こうして物理的にしばらく会えなくなるのは初めてだな」

「はい…」

槇寿郎が一言一言、噛み締めるように発していくのを七瀬は真摯に受け止めている。




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