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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第45章 4年後の茜色へ / 🔥✳︎✳︎



「何だか私の甘えたが最近移ってませんか?」

「……仕方ないだろう。来月からはなかなか会えなくなるんだ。それに……忘れたのか?」

「んっ…」

杏寿郎は七瀬の両頬を包みこむと、ちう、ちう…と啄む口付けをした。

「俺の方が君を好きなのだ、と。大正でも言っただろう?」
「………そうでした」

“でも、それは私もだ” 七瀬は喉元までその言葉が出かかったが、ここは黙っておこう —— そう判断した。



「ねえ、杏寿郎さん」
「ん?どうした」

コツンと杏寿郎のおでこが七瀬のそれに心地よく当てられると、2人の視線が絡む。
そして彼は恋人の両頬をそっと、愛おしげに撫でる。


「あなたとこうして触れ合える時間が私、本当に幸せなんです。だから……」
「うむ」

七瀬の言葉をせかす事なく、ゆっくりと待つ杏寿郎だ。

「朝だけど……杏寿郎さんを感じたいな」
「………」

途端に無言になる杏寿郎。すると七瀬の表情が不安げな物に変わる。


「あの、私……何かまずい事言いました?」

おろおろと目をパチパチさせる彼女は焦りから、背中に冷たい物を感じ出す。


「違う!そうではない!」
「うわっ、ちょっと耳が………」

七瀬の両耳が一時的に聞こえづらくなる程の声量だった。
「すまん」と申し訳なさそうに彼の両掌が彼女の2つの耳を撫でていく。


「……あまりそう言う事を言わないで欲しい」
「え?んっ………」

再び七瀬の唇が杏寿郎の唇で塞がれる。先程のような啄むキスではなく、やや濃厚な物だ。

彼女の唇の隙間からスルッと舌が入り込む。それから上下左右に歯列をうごめいた波は、桃色に色づいた唇を吸い上げて名残惜しげに離れていった。


「…………」
「…………」

少しの間を置いて、今度は啄む口付けが彼女の唇に柔らかく落ちる。






「君を離しづらくなるだろう?」



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