恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第12章 明けない太陽の世界へ / 🔥✳︎✳︎
「杏寿郎が私の血を欲してたのがよくわかった。本能が求めちゃうんだね」
「そうだな」
彼が私の目元に親指で触れる。長い爪は当てないように、気遣ってくれるその優しさが嬉しい。
もう鬼になったから当たっても大丈夫なんだけど。変わらずそんな風にしてくれるんだ。
「ねえ……私、鬼の目になってる?」
目覚めた時から気になっていた事を、杏寿郎に聞いてみた。
「ああ。桃色の瞳だな!かわいらしい君に丁度良い色だ」
ん………
恋人が目元に柔らかな口付けをくれた。
「七瀬、鬼になってくれてありがとう。愛しい君が俺のすぐ近くにいる。こんなに幸せな事はない」
「杏寿郎……」
彼の両手が私の頬を大事そうに包んでくれる。
初めて会った時に逃げれなかったのは杏寿郎の事をあの時もう好きになっていたからかな。
一目惚れ、だったのかも。
彼の目元に私もそっと触れる…長い爪が当たらないように。
「あなたの目は本当に綺麗だね」
「そうか?七瀬の目も綺麗だが」
「ありがとう」
杏寿郎がジッ……と赤く燃える炎の眼差しで、射抜くようにこちらを見てくる。
「俺は君を愛している」
「私もあなたを愛しているよ」
お互いの顔がゆっくり近づいて行き、2つの唇が互いを呼び合うように1つに重なった。