恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第12章 明けない太陽の世界へ / 🔥✳︎✳︎
「うん……鬼になったんだなあって実感してた」
「後悔しているのか?」
「まさか。これであなたとずっと一緒にいれるようになったんだよ」
私も彼の頬をそうっと撫でる。
「杏寿郎。私、すごく幸せだよ」
「七瀬……」
彼が口付けをくれる。少し啄むと、舌が絡み合う。牙同士が時おり当たるのは不思議な感覚で、少し胸がドキドキした。
そのまま続けていくと、突然体が疼き出して……
え?何、これ……
無意識だった。私は彼の唇に牙を押し当てて、血を滲ませた。
「ん、どうした」
———杏寿郎の血が欲しい、飲みたい……喉が渇いてたまらない。
本能のままに彼の血を飲み込むと、とても満足した気分になった。
「どうだ?俺の血は」
杏寿郎が興味深々、と言う顔で聞いて来る。
「とても甘くて、美味しかったよ」
「それは嬉しいな」
「でも、ごめんね。突然……」
「気にするな。ああ、しかし俺も…」
そう言って彼も私の唇に牙を当てた —— かと思うと、先程私がやったように滲んだ血を飲み込んだ。
「ふむ、鬼になったからか、更に甘くなったぞ」