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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第44章 口は難し、筆は饒舌 / 🌊



——— 3日後。

「あー……そういやそんな事言ってたわ」
「本当なんですね」
「あいつは口数は少ねえが、嘘はつく奴じゃない」

七瀬は天元のデスク前に立ち、先日義勇から告げられた発言が間違いではないか。
それを確認をしていた。


『もう食べれない………みんな、俺以外死んでしまった』



それは今から10年前、夏から秋に季節が変わる時期の事だ。

義勇一家がハワイ旅行に行った帰宅の便は乱気流事故に巻き込まれた。その際、羽田空港に緊急着陸したが、その時の衝撃で乗客の何人かに重傷者や死人が確認された。


『両親と姉が亡くなった後は、じいさんばあさんの家で暮らしていたんだと。んで、大学は奨学金制度を使ったって言ってたなー。自分の中で事故の事とか、消化しきれない思いをつらつらと文字にしてた事が小説家になるきっかけに繋がったらしい』


『先生、自分の事本当に話さないんだから……』








——再び3日前に時計の針を戻そう。

「お前の言う通りだな、ここは出会いと別れ。始発と終着が常に一緒にある」

義勇は空港の滑走路から離陸していく飛行機を一台見送ると、七瀬にそう告げた。
更に1人で帰ると急に言い出し、空港を後にした。


残された七瀬は置いてけぼりになったが、どこか寂しそうに呟いた彼を恨む事は到底出来なかった。



「すみません、写真お願い出来ますか?」

考え込む彼女に声がかかる。呼ばれてうつむけていた顔を上げた七瀬の先には1人の少年がいた。歳は17,18歳と言った頃合いだ。

彼の後ろには両親と姉と思われる人物が3人いた。内、にこやかにこちらを見ている父親と母親はアロハシャツを着ている。

「もしかしてこれからハワイへ?」
七瀬が目の前の彼に問いかけると「ええ」と恥ずかしそうに頷いた。



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