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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第44章 口は難し、筆は饒舌 / 🌊



「いえ、代官山に来るならここで直接待ち合わせでも良かったんじゃないかって……」

「…………」
「…………」

義勇の表情がピシッと固まった。

『しまった、余計なツッコミ入れちゃったかも……』

「あの、先生。すみません、スルーして下さい」
七瀬のこめかみにツツ……と冷や汗が一筋流れる、が。

「いや、お前の言う通りだ。今のやりとりも話に取り入れよう」

義勇は全く気分を害する事なく、七瀬にそう伝えた。
一瞬、虚を突かれた彼女。しかし彼のその一言に途端に笑顔になる。


「それから……すまないが、呼び名を変えてほしい」
「えっ?呼び名ですか……」

ああ、と頷いた義勇はこう続けた。

「今、俺とお前は仮にもデート中だ。出来れば下の名前で頼む」
『下の名前って……ええっーーー!!!』


心の中で叫ぶ七瀬。
口を魚のようにパクパクと複数回開けた後、呼吸を落ち着ける。
そうして少しばかり覚悟のような物を決め、彼の名前を呼んだ。

「えっと……じゃあ、ぎ……義勇……さん……」

「……………」

「先生?……あ、違いますね、義勇さん。どうかしました?」


深海のようなネイビーブルーの双眸の視点が宙を彷徨っている。
義勇はパチパチ、と3度瞬きをしたのちにようやく七瀬の方を向いた。

「いや、すまない…お前にそう呼ばれるのは悪くないな」

“七瀬、行くぞ”

ドキン、と一際高く跳ね上がる彼女の心臓。
体の中心からじわじわと体温が上がっていく感覚を味わいながら、七瀬は義勇と再び手を繋いで、歩き出した。











「お待たせしました。ハンバーグセットでございます」

ここは「四つ葉」
代官山駅より徒歩3分のパンケーキ専門店だ。代官山通りに面したビルの2階が店舗である。



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