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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第44章 口は難し、筆は饒舌 / 🌊



白い半袖Tシャツの上に黒の七分丈のジャケットを羽織り、ベージュのチノパンツを合わせていた。足元は黒のスリッポンで、胸元はシンプルな銀のシンカーネックレス。

シンプルだが、上質な服装。義勇は先程から女性陣の注目を浴びていた。

「ねえ、あの人すっごいイケメン!」
「どこかで見た事あるんだけど……」
「あ!確か小説家の………」


「先生、そろそろここから離れましょうか……」
「ん、何故だ?」


七瀬は彼に理由を説明する。
「………わかった」とそれだけ伝えると、スマホをチノパンツのポケットに入れた義勇は右掌を彼女に向けた。

「すみません、この手は一体………」
右側に首を傾げた彼女は、彼の行動が今ひとつ理解出来ないようだ。

「今日はデートと仮定して、色々回る。リアリティを出す為だ」
義勇の右手が七瀬の左手をそっと掴むと、すぐさま指先を絡められた。

『恋人繋ぎ……!』
ドク、ドク、と高鳴り出す心臓の音がどうか聞こえないように…と奥底で願う七瀬の気持ちなど露知らず。

義勇は腕時計で時間を確認すると、フラワープレイスの入り口に真っ直ぐと向かい始めた ———






「ここ来るの、一年振りくらいです」
私達は恵比寿駅から地下鉄に乗車し、中目黒を経由して代官山駅までやって来た。

駅の改札を抜けた後は東口から出て、ぐるりと反対側に歩いて行くと”代官山メモリアル ザ・タワー”と呼ばれる複合施設が姿を現す。

地上36階建てのこの建物は代官山のランドマークと言っても良い。
ドラマのロケ地としても有名な場所だ。


「あ、先生。思ったんですけど……」
「どうした?」

義勇が黒縁のメガネをグッと引き上げながら自分の方に向くと、途端にぽっと頬を染める七瀬である。


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