恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第42章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜② / 🎴
「七瀬、ありがとう!とっても助かったわ」
「ううん、お役に立てて良かったよ。また何かあればいつでも」
大正の私よ、アオイちゃんがこんなに喜んでくれるんだからこれぐらいは言っておいても良いよね?
蝶屋敷は怪我をした隊士達が毎日毎日運び込まれる、いわば療養所のような所。
今日も私が到着してからたくさんの隊士がここに搬送されて来たので、せっかくだから……と手伝いを申し出たのだ。
「もう夕方だね。私、討伐報告書書かなきゃいけないからそろそろ帰るよ」
“またね”とアオイちゃんと挨拶を交わし合った。
すみちゃん、きよちゃん、なほちゃんの3人にはなんとなくハグをしたくなり、やってみるとみんな嬉しびっくりの様子を見せてくれてとても可愛かった。
「異国ではこれが挨拶変わりになるんだよー」
理由を伝えると不思議そうにしつつも3人は納得してくれ、そんな良い雰囲気のまま私は蝶屋敷を後にした。
いつの時代も鋭いしのぶさんにバレなかったのは奇跡と言えよう。
いや、彼女の事だ。きっと気づいていてもこちらが言うまで黙っている —— そんな思考でいたのかも。
令和に戻ったら、今回のトリップで私と関わった人達の記憶ってどうなっているんだろう。
ふとそんな事が思い浮かんだ。
藤の屋敷に戻って来た。
今日で滞在を最後にすると屋敷の主に伝えると了承の返事をしてくれた後、今夜は天ぷらだと言われ心が弾みまくった。
伊之助が大好きなんだよね……と思わず顔が綻ぶ。
あてがわれた部屋に入ると何だかとても眠い。ふわあ……とあくびをすると、私は敷かれてある布団に倒れるように横たわる。
緊張感が緩んだのかもしれない。
ガラガラドーーーン!!!!
眠りに入る瞬間 ——— 自分が使う雷の呼吸のような音が耳に入って来た。
『ん………何か吐き気とめまいが………』
「…………!……………!七瀬!!!起きろー」