恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第42章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜② / 🎴
「あら七瀬さん、こんにちは。どうされたんですか?」
「しのぶせ……」
「はい?どうしました?」
「ああ、いえ!しのぶさん、こんにちは〜」
「?……」
転生しても自分の行動が変わらない事にびっくりしてしまった。しのぶ先輩の姿にもだけど、蝶屋敷に足を進めてしまった事にだ。
同期のカナヲ、そして歳が近いアオイちゃんと交流がある私は第二の家……とまではいかないまでも、よく顔を出していた。
「もう単独任務は済んだのですか?」
『うっ………何でこれも伝えちゃってんの、私』
グッと言葉に詰まった私に助け舟が入る。
「七瀬!任務無事に終わったのね〜良かった!しのぶ様申し訳ありません。すみが呼んでいますよ」
「わかりました、すぐに向かいます」
蟲柱は「ごゆっくりしていってくださいね」と私に声をかけた後、蝶が散りばめられた羽織をひらっとさせながらその場から立ち去った。
「アオイちゃん、ナイスフォロー!凄く助かったよ〜ありがとう!」
「な?ないす何……?聞き慣れない言葉ね」
『しまった!』 「あ、あ、最近ね!異国の言葉を勉強してるの」
「あ、カナヲ〜今日は善逸と任務なんだって?気をつけて行って来てね」
「うん、ありがとう………」
アオイちゃんと共に連れ立って歩いていると、これから出かけるのであろう隊服姿の友人が目の前からやって来たので、そう声をかけたのだが。
「七瀬ちゃん、単独任務はもう終わったの?」
鈴が可愛く鳴るような声で私に問いかけるカナヲ。
そりゃそうか、しのぶ先輩が知ってるんだからカナヲも知ってるか。
はあ……とため息をつきながら、適当な言い訳を即座に考えてカナヲを見送った。
ごめんね、カナヲ……。
仕方ないとは言え、騙しているような気分になる。
そして胸がちくっと痛む私だ。