恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第42章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜② / 🎴
「うまい!!!」
ここは鬼殺隊士がよく利用する食事処 —— 「笑問来福」
煉獄さんとバッタリ出会った後、まだ互いの任務まで若干時間があると言う事でお食事に誘われた。
腹が減っては戦はできぬ、だ。
4人がけのテーブル席で私の左横に炭治郎、その正面に善逸。私の正面には煉獄さん、と言う並びで座っている。
「好きな物を頼みなさい。支払いは俺がする」
この一言により、善逸はここぞとばかりに好物である鰻重を注文した。
令和での鰻重と言うとなかなか高価な食べ物なんだけど、それはここ大正でもきっと同じなんだろうなあ。
善逸は本当にいつの時代でも善逸だと思う。
因みに私は天ぷら定食、炭治郎は焼き魚定食を注文した。身の丈に合った食べ物と言えよう。
そして先程から「うまい」の大音量ボイスで、居合わせたお客さんをめちゃくちゃ驚かせている煉獄さんは牛鍋定食を食べている。
彼の好物なのだろうか。
既に5食目。恋柱の蜜璃さんもよく食べる人として有名で、同じように煉獄さんも本当によく食べる。
そしてこれも蜜璃さんと煉獄さんに共通している事なのだけど、とても品よく食べるのだ。
ひと口ひと口、お箸を持っていく所作が本当に綺麗。2人の育ちが良いのが伺える。
こんな感じで色々と共通している炎柱と恋柱。
私達は勿論、殆どの隊士達からよく慕われている。
「時に沢渡少女、君は確か単独任務に向かうと言っていなかったか?」
煉獄さんがそう言えば……と思い出したように目の前の私に問いかけて来た。
「ええ、そうなんですけど……」
「ん?どうした?」
彼の大きな目がやや訝しげに探る視線に少し変化する。
「……………」 「……………」
その様子を見た炭治郎と善逸の箸を持つ手がぴたりと止まった。
どうやらこちらの時代の私は単独任務に向かう際、タイミング良く?いや…悪く?煉獄さんに会ってしまったようだ。
柱の皆さんはとても鋭い。下手な嘘なんてついた日には瞬時に見破られてしまうだろう。
うーん……と考えを巡らせた私は ———
「じくう……?を移動とはどう言う事だ??」
煉獄さんにも正直に話すと言う選択をしたのだった。