恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第42章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜② / 🎴
「隊服?」
コクン、と頷く炭治郎だ。
「洋袴の替えが無くなったからって……ほら、隠の前田さん」
「ああ……前田さん、ね」
前田さん —— フルネームは前田まさお。隠の縫製係だ。鬼殺隊での通り名は”ゲスメガネ” 女性隊士の隊服を自分の独断と偏見で露出度が高いデザインに作成する男性である。
但し、腕は超がつくほど一流。やや厄介な人物に限り、何らかの腕に長けていると言うのはあるある事例なのかもしれない。
「ちょうど今の七瀬のそのスカート?って言うのか?同じような服を履いて現れて……」
なるほど……。
「ハレンチだ!似合ってない!……思わずそう言ってしまった。そんな事言うつもりなかったのに」
「むしろすっげー似合ってたんだよね。あれだろ?自分以外に見せたくないって奴。男ならまあよくある事だよなー」
ハア、と肩を落としながら暗いトーンで嘆く炭治郎に対して、善逸はどこか楽しそうだ。
それからタイミング良く?こちらの私に3日間の単独任務が入ってしまい、全くコンタクトを取っていないんだそう。
「ねえ、炭治郎。戻って来たらちゃんと誤解だってこっちの私に伝えてあげてね。きっと凄くショッ…じゃないな。落ち込んでると思うから」
「うん、わかった」
それから2人に、こちらの私と未来から来た私が接触するのはあまり良くない。何故なら……伊黒先生から聞いた話をかいつまんで伝えていった。
「へーえ、次元?が壊れるかもしれないんだ。何かよくわかんないけど、とにかくやばいって言うのはわかったよ」
「伊黒さんは未来でもやっぱり頭がキレるんだな」
「うん、言葉の切れ味も変わらないよ」
はは、そっかあ……と3人で談笑しながら森を抜け、街の入り口までやって来た所へ現れたのは。
「む?竈門少年に我妻少年に、沢渡少女か?」
炎を模した羽織を身に纏った炎柱こと、煉獄さんだった。