恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第42章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜② / 🎴
「へーえ!これが写真!すっごいね〜、こんな片手で持てる機械で簡単に写せるなんてさー」
スマホを片手に善逸は本体を下から覗き込んだり、液晶画面をじいっと見やったりと興味が物凄い。
あ、全集中ってこう言う時に使える言葉かもなあ。
この時代から100年以上先の未来の技術は大正時代を生きている人には全くの未知なる世界だろう。
「善逸!未来の俺の大事な持ち物だぞ。早く七瀬に返してあげてくれ」
「はいはい〜わかった、わかった。じゃあ七瀬ちゃん、これ」
ありがとう、とお礼を言いながら受け取った私は隊服の胸ポケットにスッと入れる。
「それで七瀬、向こうにはすぐ帰れるのか?」
炭治郎が令和の時とちっとも変わらない様子で私を心配してくれる。本当、優しいなあ。
「うん、それがね……」
伊黒先生に色々と分析してもらった所、次に雷の呼吸に反応する時限空間が出現するのはこの時代で言う3日後だろう —— そんな答えが出た。つまり私は大正で3日間滞在しなければならない。
「ねえ、そう言えばさ。こっちの時代の私って今どこにいるの?」
「あー……七瀬か……」
ん?何だか急に歯切れが悪くなったなあ。どうしたんだろう。
「七瀬ちゃん、気になるよね?」
炭治郎の左肩を組みながら、意味ありげに目線をよこす善逸。
「うん、もちろん。何?何があったの、気になるんだけど…」
自分の眉間がグッと寄るのがわかる。もちろん体は前のめりの体勢だ。
「こいつさ、喧嘩しちゃったんだよ。つまんねー事で」
「善逸!つまらないって何だ!俺は真面目に……」
「あーはいはい。そう言う所本当頭固いよなあ」
“あのね………”
善逸から紡がれる言葉をしばし待つ ———