恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第42章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜② / 🎴
「何だよ、いきなり視界塞ぎやがって……」
唇を突き出して、私と炭治郎をじとっ……と見やる善逸。当然ながら現代の彼と瓜二つなので顔が綻んでしまう。
「?どうしたの、七瀬ちゃん、そんなにレイワ?だっけ。未来の俺と今の俺って似てる?」
『似てるなんてもんじゃない、生き写しだよ!』
そう叫ぶのはひとまず置いておいて、私は大正善逸に話の続きをしていく。
“協力者がいた方が何かと良いんじゃないか”
これは私がこちらにタイムスリップして来る前に、大正炭治郎と話して導き出した1つの答えだ。
——— 「3人いれば文殊の知恵」
そんなありがたーいことわざもあるしね。
……と言う事で、私達を取り巻く人物を選定した結果、善逸が1番適任だろうと2人の意見が一致した。
理由はこうだ。
善逸は普段とてもうるさいが、実は周囲の事をよく観察しており、一般常識も割とあるタイプ。
彼が町育ちと言う事も関係しているかもしれないけど、会話のキャッチボールがきちんと出来るのだ。
炭治郎と伊之助はどちらかと言うと「天然」の部類に入る為、よく会話が行き違う事があるが善逸に至ってはあまりそう言う事はない。
以上の理由から、彼の気持ちが落ち着くのを待って今回のミッションの全容を話した。
「最初聞かされた時、嘘だろ?と思ったけどさー。考えてみれば鬼が存在している事も不可思議って言ったらそうだし、時間超えて人がやって来る…なんて事例もあるのかなって」
この冷静な思考。これが善逸と言う人だ。
やかましい性分が印象として先行してしまうけど、その奥底にはこんな部分が見え隠れしている。
よくよく観察すれば、とても出来る男。
それが我妻善逸である。