恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第42章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜② / 🎴
チン ———
私は日輪刀を納刀し終えると、深く長い息をした。
そして後ろを振り返り、自分を”信じられない” そんな目で見ている炭治郎に話しかける。
「こうして会うのは初めましてだね。七瀬です。令和からやって来ました」
「あ、俺は炭治郎……です。大正で隊士やってる……」
「うん、知ってる」
「はは、そうだよな……」
目の前の炭治郎は当たり前だけど、私の彼氏の炭治郎と瓜二つでなんだかとてもくすぐったい。
「そうだ、これ!返さないとな」
隊服の上着の胸ポケットに右手を入れ、スマホを取り出す彼から受け取ろうとすると………
「あっ、いたいた!炭治郎ー!探したんだぞー」
森の入り口から右手を振りながらこちらに向かって小走りで近づいて来るのは善逸。
『ああ、何でこのタイミングでやって来るの……』
私は思わず右手を額に当ててしまう。
「あれ!七瀬ちゃん、さっきぶり〜……って何?その格好!!あ、あ、足が甘露寺さんばりに露出……おい、炭治郎何すんだよ!」
私の隊服姿を見た黄色い頭の目が輝きに満ちあふれた瞬間、彼の双眸は炭治郎の両手によりあっと言う間に塞がれてしまった。
あれから伊黒先生は彼女である蜜璃先輩に隊服の事を聞いてくれた。
美大に通っている彼女は絵だけではなく裁縫にも長けており、何と隊服を私の体のサイズに合わせて作ってくれた。
それはとてもありがたかったのだけど、1つだけ問題が生じてしまう。
前世で自分が着ていた隊服が基本タイプと認識していたように、蜜璃さんも自分が大正時代に履いていたスカートを同じように基本タイプと考えていた。
その為、洋袴ではなく、膝上15センチのミニスカートになっていたのだ。
令和の私はショートパンツもよく履いていた為、抵抗はなかったのだけど、大正はミニ丈に生足の組み合わせはきっと刺激が強いだろうと考え、スカートの下にくるぶし丈の黒レギンスをはく事にした。
因みに上着は胸のサイズに自信がなかったので最初から一般使用で…とお願いしていた為、あの胸元全開はどうにか免れた。
これは伝えておいて本当に良かったと思う。