恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第40章 大正、令和、時を駆ける〜ヒノカミ〜 ① / 🎴
そしてその121万キロワットがどれぐらいの消費電力に相当するかと言うと…………
「原発1基分を超すエネルギーが必要なんでしたっけ?雷が鳴るぐらいの威力」
「そうだ。舞台になっている1955年にしても1985年にしてもデロリアンのエネルギーの元になっているプルトニウムは入手が困難だったからな。そして沢渡、お前の使用呼吸は何だ?」
『…………』
伊黒先生が腕組みをして、私をじいっと見ている。首に巻かれた鏑丸さんも同じようにじっと。
私が答えを出すまでそう時間はかからなかった。
「かみ………なり………」
「七瀬、気をつけて行って来いよ。令和と違って向こうは色々と不便だし、何より鬼がいる。俺も行きたいんだけど……」
「ありがとう。でも伊黒先生言ってたじゃない。同じ人間が同じ時間に存在している事は本来ならありえないからって。まあそれ言えば私も同じなんだけど……」
ここは学校の裏山の入り口。時空が大正の時代と繋がってるのでは?と私が推測した場所だ。
『いいか?本来ならあの時代にない物が存在していると言う事は未来……大正から言えば俺達が住んでいる令和だな。この時代に何かしら影響がないとは言えん。竈門以外の手に渡ってみろ。それが善人ならまだ良い。問題は悪人……スマホを利用して金儲けなどを企む輩だった場合だな。過去が変わってしまうぞ』
—— 過去が変わる。即ち私達の住む未来も変わってしまうと言う事だ。
「だからって七瀬が取り返しに行かなくてもなあ……。俺、本当に心配だぞ」
「炭治郎ありがとう。でも伊黒先生も言ってたじゃない。本来ない物があると言う事は危険だって。私達だってもしかしたら何かしら影響があるかもしれないよ?もし、大正炭治郎が本来亡くなるタイミングで亡くならないと、この時代にあなたが転生出来ないなんて事だって考えられるんだから」
これはきっと私にも同じ事が言えるのだろう。
「大正炭治郎にも今回の件は伝えたし、きっと上手く行くよ。返すって言ってくれたしね」
「うん……俺だったら悪用はしないとは思うけど」
「だよね。じゃあ炭治郎下がってて。行って来る」
私は腰のベルトに差し込んである日輪刀の鞘に左手を、右手で柄を掴む。