恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第37章 Dear 何年後かの私達へ / 🎴
ドラムの不死川先生がシンバルをスティックで静かに鳴らす音から始まる。
次にカナエ先生が奏でるキーボードからピアノの響き。
そしてそこに向井先生のアコースティックギターの柔らかなストロークがマッチしていく。
♪ ねえ 君はその心にどんな願いを抱く 良ければ僕に教えてくれよ
向井先生の声がマイクから発せられる。とても耳馴染みが良い、爽やかな歌声だ。それは心にもじんわりと染み込んでいくようだった。
♪あなたが私にくれる思いを 全部言葉に出して伝えたい
これはカナエ先生が作詞した所かな。
そのBメロのフレーズが終わった後に、煉獄先生のギターと冨岡先生のベースが更に曲に味わいを足していった。
バラードではあるけど、ロック色も少し強い。こう言う曲調……何て言うんだっけ……
“ロッカバラードだね”
私の隣にいたクラスメイトの女子が耳打ちして来た。
そうだ、そうだ。ロック的な曲調のバラードをそう表現するんだった。
そして、歌詞がサビに入る—-
♪僕の願い 君の願い 重なるとどんな響きになるかな
明るさ 切なさ 全部繋ぎ合わせて 未来に届けよう
私と彼…炭治郎の願いも、まだ見ぬ未来(あした)に繋がると良いな。
浪漫五重奏のメンバーが奏でる演奏は、私を含めた観客の心に温かい気持ちを浸透させていく。
そうして曲が終わった瞬間——体育館中が拍手の音で埋め尽くされ、正に”大盛況” その一言しか思い浮かばなかった。