恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第37章 Dear 何年後かの私達へ / 🎴
「あ、そろそろ竈門くん出番じゃない?こっちはお客さん落ち着いたから、七瀬体育館行って大丈夫だよ」
教室の時計を見て、クラスメイトがたこ焼きを焼いている私にそう声をかけてくれる。
「ありがとう!じゃあ今焼いている分だけやったら、抜けるね」
左親指と人差し指で丸印を作ると、私は残りのたこ焼き作りに集中した。
「まさかまたこうして自分がステージに立てる日が来るとは思いませんでした。一緒に練習しようと奮起して下さった先生方に感謝します。何より宇髄先生を始めとするハイカラバンカラデモクラシーという素晴らしいバンドと一緒に共演出来る。これが1番嬉しいです」
私が体育館に着いたちょうどその時、向井先生がスタンドマイクに向かってステージ前に集まっている観客に、挨拶をしていた。
浪漫五重奏の面々は特にかしこまった服装…と言うわけではなく、いつもの格好の先生達がそこにいる。
しかし、ギターやベースの弦楽器を肩から下げていたり、これからドラムを叩いたり、キーボードを弾こうとしているその姿は普段の先生達を何倍も輝かしく見せている。否が応でも期待値が上がる…そんな雰囲気だ。
ただでさえ、見た目に定評がある5人の先生達。私もどんな演奏をするのか、一観客として物凄く気になる所。
「今から演奏する曲は僕のオリジナルです。作詞作曲を久しぶりにしてみました……因みに作詞はカナエ先生との共作です」
ここで観客がわっと湧く。
「それでは聴いて下さい。”僕の願い、君の願い”」