恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第37章 Dear 何年後かの私達へ / 🎴
「炭治郎、強力なライバル出現だね」
「う、うん。そうだな」
右隣から彼の耳元にコソッと呟くと、彼はうーんと右側頭部に手を当てて悩み始めた。
「練習あるのみだな!頑張る!」
“うん、本当に頑張って……”
声にならない声を心の中で必死に願う私である。
★
それから3ヶ月後。今日はキメツ学園高等部の文化祭だ。
私はたこ焼き屋さんの担当になり、同じ役割の女子3人と朝から教室で準備をしながら、とあるバンドの話で盛り上がる。
「向井先生、すっごく歌上手いらしいよ。楽しみだね!」
「煉獄先生のギターも超がつくぐらいカッコ良いらしいよ」
「リズム隊の2人、普段は犬猿の仲って感じなのに演奏の息はぴったりなんだってー」
メンバー構成は以下の通り。
ボーカル&アコースティックギター……向井英一
ギター……煉獄杏寿郎
ベース……冨岡義勇
ドラム……不死川実弥
この4人にキーボード……胡蝶カナエ
バンド名は浪漫五重奏(ろまんクインテット)
ハイカラバンカラデモクラシー、結成以来の大ピンチ!
………かもしれない。
みんな練習は張り切ってやっていたけど……。
3日前、私はレンタルスタジオでの直前練習に同行した。
それぞれの役割は果たしていると思う。思うのだけど、やっぱり彼氏である炭治郎のボーカル。これがもうどうしようもないくらい調子外れ且つ、破壊的音響。