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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第36章 未来の青写真〜早春〜 / 🔥


「いいなあ、好きな人と毎日一緒に過ごせるなんて。本当に憧れてしまいます……」

ほう……と夢見心地の表情を見せる七瀬は後ろから回されている恋人の腕を両手でそっと掴んだ。

「珍しいな。今日のネイルは紫色か」

「あ、はい。こんな色もたまには良いかなって思って…ラベンダーの色ですね」


七瀬の爪先を彩っているのは葵色(あおいいろ)と呼ばれる、灰色がかった明るい紫色だ。
彼女は週末、杏寿郎と会う時は決まって爪に彩りを与えている。

これは大正の時代に初めて彼とデートした際、同じように爪に彩りを与えると杏寿郎がとても褒めてくれた為だ。だから令和の時代に転生した今でも同じようにネイルを塗るようにしている。

「柔らかい色だから、目に入る度に癒されるんです」
「そうだな。わかる気がする」



「私、槇寿郎さんと瑠火さんのような夫婦が理想です。子供が生まれても恋人のような関係…と言うんでしょうか」

「七瀬、父と母のような関係と言うのは珍しい事らしいぞ。高校、大学時代の友人とたまに会った時に話を聞く所によると…だが」

「えーそうなんですか??理想と現実は違うんですね…」
ややシュンとした気持ちになる七瀬。

しかし……



「俺は君となら、父と母のような関係になれると思っているがな」

ドキン……と胸が高鳴った彼女を、杏寿郎は自分の方に向ける。
そして大事な物に触れるように、愛おしい気持ちで七瀬の両頬を包んで柔らかく撫でた。

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