恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第35章 He is neat ?/ 🌊
「はい、出来ました。当店名物のひょっとこ焼きです!」
おぉ〜と4人の声が同時に出た。それから少し間があって、ほう…と小さく静かな呟きが漏れた。
説明しよう。
当店名物のひょっとこ焼き。それはいわゆるもんじゃ焼きである。
キャベツ、もち、チーズ、明太子。これらを使用して鉄板に生地と一緒に流し入れ、ひょっとこに見立てて焼くのだ。比較的簡単に出来るので、バイトの先輩から後輩へ受け継がれていきやすい。
お客さんから焼くのを頼まれた場合のみ、従業員が焼いても良い事になっている。
「よし、ではひょっとこ焼きも出来た。冨岡、少し早いが誕生日おめでとう!!」
私は煉獄さんのこの言葉にびっくりしてしまった。
え?もう少しで誕生日なの??
「おゥ、これからも頼むわ」
「今年はちったあ、地味から派手にシフトチェンジ出来っかね?」
「もんじゃでひょっとこ……解せぬ」
不死川さん、宇髄さんが彼ら流にお祝いの言葉を冨岡さんに贈った後、たった1人伊黒さんだけは目の前のひょっとこ焼きが信じられないようで、その後もネチネチと何かをブツブツ言っていた。
「……ありがとう」とまた小さく呟いた彼は小さなヘラを使って、適量のひょっとこ焼きを取り皿に乗せた後、フウフウと息を吹きかけて口に入れた。
そこから咀嚼が10秒ちょっと。
「………美味い」と一口漏らしたのを確認した私は脳の中で諸手をあげて喜んだ。