恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第35章 He is neat ?/ 🌊
「どうした、煉獄。知り合いかァ?」
「へぇ、地味だがおもしれえな!ひょっとこ焼きを焼く、ひょっとこ店員かよ」
「ひょっとこ女とはまた何とも珍妙で信じがたい……」
「………ひょっとこ」
自分の右側頭部に被っているひょっとこのお面を見て、目の前の4人が次々に感想をもらす。
“ちょっと、ちょっと…ひょっとこ言い過ぎでは”
その突っ込みは喉元まで出かかったが、一旦留めた。
「お店の名前とメニューの名前に因んで、従業員はみんなこのお面と紺の作務衣(さむえ =禅宗の修行僧の作業着)を身につけているんですよ」
理由を説明すると、皆さん納得したのか頷いてくれた。
それから今一度焼いても良いか確認をした後に、私はテーブルの真ん中の鉄板に生地を流し入れ、両手にヘラを持って名物を焼いて行く。
「おぉ!見事にひょっとこだ!冨岡、見てみろ」
「……そうだな」
派手なお兄さんに話しかけられ、ボソリと一言呟く青ジャージの彼は冨岡さんと言うらしい。
焼いている間に皆さんがそれぞれ自己紹介をしてくれた。
全員キメツ学園の教員で、白銀髪は数学教師の不死川さん、左目の花火メイクは美術教師の宇髄さん、オッドアイは化学教師の伊黒さん。派手な見た目は歴史教師の煉獄さん。
思い人の冨岡さんは体育教師。だからいつもジャージを着ているらしい。
そして、今日この瞬間を持って私が考えていた「ニート=ジャージ」の法則は完全に崩れた。
ジャージを着ていないニートの皆さん、本当にごめんなさい。全国に何人いるかは不明だが、私は見知らぬ彼又は彼女達に心からの謝罪をした。