恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第34章 狐に嫁入り? ③ / 🔥
「俺は君の事が好きだ。とても大事に思っている」
大きな左手が私の右頬をそっと包む。
「私も杏寿郎さんが好きだよ。大す……」
そこから先は彼の唇で塞がれたので、言葉に出す事が出来なかった。
30秒にも満たない短い時間。彼の顔が私からゆっくり離れていく。
「続きを聞かせてほしい」
「え、続きって……」
顔がまた赤くなって来る。
「大……の…後だ」
あれ…彼の顔も何だか少し赤い……?
フウ……と1つ大きな深呼吸をして、高鳴る心臓を抑えながら私は声に出した。
「大好きです……杏寿郎さんが……」
「俺もだ」
再び彼からのキスが自分の唇に届く。先程と違い、やや深いやりとりをする。
「ん……苦し……」
「七瀬、息をしろ。止めなくて大丈夫だ」
「ごめん…私…初めて…なんだ……」
そう、これが私のファーストキスだ。男の人と付き合った事は何回かあったけど、何故かいつもキスの段階になると相手の事が怖くなり、関係が終わる事が多かった。
「そうなのか?」
「うん……」
彼の顔がゆっくりと離れていく。ああ、呆れられたかなあ。
「…………」
「七瀬……」
杏寿郎さんが私の両手を大きな両手でそっと包み込んでくれる。
「正直に言う。俺はとても嬉しい」
「そうなの?」
「ああ、何故なら……」
「ひゃぇ?そ、そうなの?」
コソコソコソ……と私の耳元で彼が呟いた事にびっくりして、変な声が出てしまった。