恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第34章 狐に嫁入り? ③ / 🔥
「槇寿郎さん、瑠火さん、千寿郎くん」
私はピシッと姿勢を正し、目の前に座っている3人に改めて向き合う。
「私、杏寿郎さんの事をとても大事に思っています」
「ほう!」 「あら」 「わあ…」
3人が歓喜の表情と共に、それぞれ反応を見せてくれた。
「よも……や??…げほっ……」
そして、右横に座っている彼が食べていたいもけんぴを詰まらせる。
「あ、ごめんね。驚かせちゃって……」
「いや……大丈夫だ」
湯呑みに入ったほうじ茶をゴク、ゴク、と飲んだ杏寿郎さんはふう…と深く息を吐き、ようやく落ち着いた。
「お嫁さんの件はまだまだ自分の中で考えないといけない事が多いのですが、1人の男性としてとても愛おしく思っています」
「ふふ、そうですか。いえ、実は今日その事を丁度お聞きしようと思っていたんですよ。嫁候補といえども、大切なのは七瀬さん。あなたの気持ちですからね」
瑠火さんは先程よりも更に嬉しそうな表情を見せてくれた。
「ごめんね、杏寿郎さんに伝える前に皆さんの前で宣言するような展開になっちゃって……。私も自分に驚いてるの」
何故だか、3人に言わないといけない。そんな気持ちになった。
「いや……確かに驚いたが、俺は嬉しかった」
“2人でゆっくり話しなさい”と槇寿郎さんに促され、今は和室の縁側に杏寿郎さんと座っている。
「七瀬…」
「うん、なあに?」
彼が私の左手に自分の右手をそっと重ねた。