恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第34章 狐に嫁入り? ③ / 🔥
「ああ、だから俺にとっては丁度良いんだ」
「そうなんだ……」
また彼から優しいキスが唇に届く。
「ん…」
今度はさっき言われた通りに合間に息をしながら、やりとりを続ける。
軽く啄むだけだったそれが深くなる…その時、フッと目の前の彼の顔が離れた。
「すまん、これ以上は控える。君の気持ちも大事にしたい」
大きな掌が私の両頬を包み込むと、最後に一つおでこに柔らかいキスが落とされた。
「狛治にちゃんと言わないといけないね」
「ああ、話して終われば良いが……きちんと勝敗を決めないといけないだろうな」
「勝敗かあ」
「うむ」
「今回は途中で君をさらって来たからな」
「そうでした……」
あの時、まだ勝負は終わってないぞー…って言っていたもんね。
「杏寿郎さん」
「どうした?」
「まだこれ言うのは早いかもしれないけど…良いお嫁さんになれるよう、私頑張るよ」
一瞬、きょとんとする彼。
だけどすぐに笑顔を見せてくれる。
「ありがとう。やはりあの時助けてくれたのが君で本当に良かった。七瀬……大好きだ」
“私もあなたが大好きだよ”
この返答を口に出す前に杏寿郎さんからのキスが私の唇に届いた。
妖狐の嫁への道はまだ開かれたばかりだ。
彼と一緒になる未来を思い浮かべながら、私達は縁側でしばらく口づけを交わし続けた——
end.