恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第34章 狐に嫁入り? ③ / 🔥
いつも肩まで下ろしている鮮やかな金髪は腰まで伸びており、左頬には燃える炎をかたどった痣のような模様。
口元からちらりと覗くは尖った牙、両手の爪は湾曲して、先端が鋭い。
そしてふわふわと触り心地が良い尻尾は9本。正に”九尾の狐”に相応しい姿になった彼がそこにいた。
「……七瀬にこの姿を見せるのは初めてだったな。驚かせてしまってすまない」
「ううん!大丈夫!」
私は慌てて両手を振る。正しくは驚いたと言うより更に綺麗な姿だなあ……かっこいいなあと見惚れてしまったのだけど。
「手短に済ませる、しばし待っててくれ」
彼は私に笑顔を見せると、右掌の上に狐火をポッ、 ポッ…と2つ灯していく。
「そうはさせない —— 術式・五行、空(ごぎょう、くう)」
狛治が手早く右手人差し指と中指で五芒星を自分の目の前で描くと、それが掌の上で具現化して、ポウ…と形を成した。
そしてその五芒星を自分の足元にパン!と叩きつけると、そこから黄色い光が彼の体を包む。
ん…眩しい!
私が目を開けると飛び込んで来たのは、黒い直衣(のうし)に紅梅色(こうばいいろ=紫ががったピンク)の袴を身に纏った狛治の周囲に、バチバチ……と青い稲妻が光っていた。