恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第33章 狐に嫁入り? ② / 🔥
ニコッと綺麗な笑顔を浮かべて笑う杏寿郎さんにまたドキッと胸が高鳴る。
小狐の時、人の姿の時…と何だかギャップが凄い。ああ、これがいわゆる”ギャップ萌え”か……。
私が心臓の鼓動を1人落ち着けていると、瑠火さんがこんな提案をしてくれた。
「七瀬さん、宜しければ今日はこちらに一晩泊まっていかれませんか?温泉もありますし、町にもなかなか面白いお店がありますよ」
「え、大丈夫ですか?人間の私が出歩くのは危ないのでは…」
素朴な疑問だった。しかし……
「問題ありませんよ。ねえ、槇寿郎さん」
「ああ、杏寿郎がいれば心配は無用だ」
………と言う事で、杏寿郎さんと妖狐の町へとやって来た。私の姿は他の妖狐から人間だとバレないように術をかけて貰っている。
煉獄家から一歩外に出れば、目に飛び込む人達はみんながみんな頭のてっぺんに狐の耳。そしてふわふわと触り心地が良さそうな尻尾をなびかせていた。
町に直衣を着ている人はいない。男性も女性も色とりどりの小袖を着ていて、視覚から楽しませてくれる。
驚いたのはすれ違う人達が、杏寿郎さんを見ると誰もが気さくに声をかけてくる事だ。妖狐の長の息子だから丁寧な対応をしてくれるけど、そこに堅苦しさはない。
とても良いなあ…と私は感じ、それを隣にいる彼に伝えると「父の代からこのようになった」と教えてくれる。
杏寿郎さんのおじいさんの代までは、煉獄家はやや恐れられていたらしく、それを不憫に感じた槇寿郎さんが大改革をしたようだ。