恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第33章 狐に嫁入り? ② / 🔥
「ありがとう、では頼むな…」
「はい!」
杏寿郎さんが器に置いてあるさつまいもけんぴを10本程、口に入れた瞬間…
「杏寿郎!そんなに一度に食べたら、あなた…」
「ボンッ!!」
「わっ!何??」
私の右隣から急に真っ白な煙が上がった。
「瑠火さん、少し声をかけるのが遅かったな」
「兄上はさつまいもに本当に目がないですからね」
煙が晴れて来たその中心には………
「うむ!やってしまった!不甲斐なし!」
10年前に出会った緋色の瞳をした小狐が、そこにいた。
「さつまいもを食べすぎると、この姿になっちゃうなんて…」
か、かわいいよぅ……。
両目が自分でも輝いているのがわかる。
「嫁入り合戦に該当する妖狐は、このような事に何故だかなってしまう。素山の術なのかもしれんが、詳細は不明だ」
槇寿郎さんが先程した深いため息より更に更に深く息をつく。
「この姿になると、15分はこのままだ!大した時間ではないが、使える妖力も半分になる」
小狐の杏寿郎さんは人の姿をした時と変わらずに話す。愛らしい姿でも口調が彼のまま。それが私の胸をきゅん…とさせてしまう。
「15分なら確かに少しの時間だけど…すぐ戻る方法ってないのかな?」
「む…すぐにか…」
杏寿郎さんが小さな右の前足を狐の顔に当てて、考え込む仕草をする。
だ、だめ……可愛くてたまらない……。