恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第32章 狐に嫁入り? ① / 🔥
杏寿郎さんには今日初めてこの場所で会った。
なのに心臓の高鳴りとは別に安心感と言うのかな。そんな気持ちも感じている。
「嫌いではないと思う」
むしろ……これって…?
「そうか」
彼はにっこりと笑ってくれる。
「俺は君の事をとても気に入った!見た目も愛らしいが、何よりここが良い」
「え…?」
私の心臓に当たる部分を右手人差し指でちょん..と触れて来た。
「縄で縛られていた俺をすぐ助けてくれようとした。その心が特に良いな」
「あ、ありがとう…」
気持ちにほっこりと温かみが増す。
「して、君は何故ここに来たんだ?」
「あ、うん。実はね…」
忘れてた。私、そう言えば両親とはぐれたんだよね。彼と話すのが楽しかったのか、そんな不安が頭の中から消えていた。
今度は私が自分の事を話し始める。
「そうか、それはとても心細い事だろう。では俺が君をご両親の所に戻すとしよう」
「え?そんな事できるの?凄いね!」
「800年生きている妖狐だぞ?妖力もそれなりにある」
「は、800年???」
また私は驚いてしまう。どう見ても杏寿郎さんの見た目は20代なのに……。
「あの、じゃあお願いします。あ、でもこう言う場合って何か対価って言うかそういうのが必要なんじゃない?」
「君は人間だろう?よく我らの世界の理(ことわり)を知っているな」
また大きな2つの目を見開く杏寿郎さんだ。