恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第32章 狐に嫁入り? ① / 🔥
「あ、私は七瀬です。杏寿郎さん、で良いですか?」
ドキドキと心臓の鼓動がまだ速い中、狐のお兄さんに倣って自分の名前を伝えた。
「大丈夫だ!君は七瀬か、良い名だな!」
にっこりと笑う笑顔がとても綺麗だ。
「あの」
「ん?どうした」
お兄さん…杏寿郎さんはまた顔をずいっと近づけて、私の目を覗き込んで来る。近い!近い!とても近い。
「すみません、すみません、顔が近いです」
「ああ、すまない。けれど君の瞳の中にある狐火が本当に綺麗で、つい見つめてしまう」
「あの、その狐火って……?私の目が一体?」
うむ、と1つ頷いた杏寿郎さんは狐火、そして妖狐の世界の風習…を私に話し始めた。
15分後——
「へぇー!凄いね!」
相槌を打つ度にそんな言葉を連発してしまった。
「んー、でもその狐火?って本当に私の目の奥にあるの?何か証拠とかってないのかな?」
「ふむ、証拠か…。ああ、そういえばこんな話を聞いたな。狐火を瞳に持っている女子は俺の目の中にもある狐火を見る事が出来るそうだ!」
どうだ?そう言ってまたずいっと私に顔を近づけてくる杏寿郎さん。
「わわわ!ちょっとだから距離が近いよ!近すぎー!」
後退りする私の背中に大きな手をふわっと当てる。そして、ちゃんと見ろ…と諭すように言って来た。