恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第30章 今日書くの、やめても良いですか? / 🎴
大好きな気持ち、か。
「そうだね。炭治郎くんの言う通りだと思う。好きな気持ちだけで書ける程甘くはない世界だけど、それでもやっぱりその気持ちは1番大事かな」
「良かったです、七瀬さんと同じ意見で」
彼が笑うと、私の心がとても温かくなる。本当に陽だまりのような人だ。
「七瀬さん」
「ん?何?」
陽だまりの笑顔が急に真剣な顔になると、彼は深呼吸をした。
「俺、あなたが好きです。編集者としてはもちろん、1人の男としても七瀬さんの隣にずっと寄り添っていきたいです」
「炭治郎くん……」
「この本の帯と一緒です。俺の1番大事な人は近くにいました」
涙で視界が滲む。それは私も同じだった。
近くにいるのが当たり前だから、気づけなかった。
文字と一緒で、1番大事な人はすぐ近くにいたんだ……。
「ありがとう。私もあなたの事が大好きだよ。でもわかってると思うけど、私重いよ?色々と」
「はい、それはもう重々承知しています。でも俺はその重さも含めてあなたが良いなと思っていますから」
頼もしいな。こういう所、本当に年下とは思えない。
「七瀬さん…」
「え……」
2人掛けのソファーの隣に座っている彼が私をそっと抱き寄せた。