恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第30章 今日書くの、やめても良いですか? / 🎴
「で?お前らその後どーなの」
天元がニヤリと笑って、目の前の部下に聞く。
「いや、特に何も……」
「あのな。そんな真っ赤な顔して言われても説得力ねーぞ」
“編集長は作家だけじゃなく、色恋を見抜くのが本当に上手だな”
炭治郎は改めて天元に尊敬の念を送る。
「まだ始まっていませんよ」
「ふーん、そっか。じゃあ来月あたり始まるって所か」
「……どうでしょう。すみません、俺出来上がったこれを先生の所に持って行って来ます!」
炭治郎は書籍をリュックに入れると、天元から逃げるように編集部を後にした。
『あー俺も嫁達に早く会いてぇ。会合やら出張やら重なって、2週間も家に帰れねぇのはキッツイわ』
編集長はデスクに置いてあるスマホを手に取ると、メッセージアプリを開く。
グループトークの項目をタップし、”今日は帰れそう、お前らの顔を早く見たい”と画面に打ち込んで送信すると、間を置かずに3回スマホが振動した。
“お待ちしています!”
“天元様に早くお会いしたくて、震えています”
”ふぐ刺し、ご用意しておきます”
まきを、須磨、雛鶴、と3人の可愛い妻達からの返信に天元は顔を綻ばせると、七瀬の書籍のページをパラッと開いた。