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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第30章 今日書くの、やめても良いですか? / 🎴


「これ……」
紙の束を彼に渡すと、竈門くんは目を見開いた。

「最近はパソコンに打ち込んでデータをメールで送ったり、こうやってうちに来てもらった時、文章を一緒に確認しながら打ち直したりしてばかりでしょう?」

「昔みたいに手書きで文字を書く事をしてないなあって思って。去年ぐらいからかな……とにかく思いつく言葉をメモ帳やチラシの後ろに書いてたの」


“悲しい”

“また恋が終わった”

“自分はこれから生きていけるのかな”

などなど……マイナスの言葉ばかり。
だけど、今思い返すとこれらがとても大切な物に思える。


「恋は機嫌を損ねると、すぐどこかに行ってしまう事が多いでしょう?でも文字だけはずっと自分の側にあったの。どこにも行かずに」

「変わらずに私の1番近くにあった。どんな時でも」





それから3ヶ月後、炭治郎は天元のデスク前にいた。
七瀬が執筆した原稿が無事に製本まで辿り着き、一冊の本として出来上がったからだ。

「……”恋がこぼれ落ちないように”…ねえ」

1番人目に触れる表紙のタイトルにはそう書いてあった。

帯には” 1番大事な人はすぐ近くにいます” と記してある。


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