恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第30章 今日書くの、やめても良いですか? / 🎴
じわっと私の両目が滲む。
慌てて出そうになった雫達を指先で拭った。
「先生、良かったですね。俺、飲み物取りに行って来るので待ってて下さい」
そうしてにっこり笑った竈門くんは、いつの間にタッチパネルで注文したのか。ドリンクバーに向かって行った。
先程、店員さんから貰ったナプキンを読み直す。
“ずっとずっと応援しています”…か。
暫くそのナプキンをじっと見つめていると、お待たせしましたと彼がマグカップをコトン、と私の目の前に置いた。
これは……ココアかな?マグカップに入っている茶色の液体は甘い匂いがする。
「あれ?これ、苺の香りもする」
マグカップを鼻に近づけて、その匂いを確かめた。
「はい、俺のイチオシのストロベリーココアです。因みに自分はヘーゼルナッツココアです」
「へえ!苺のココアかあ。確かに今まで見た事がないよ。よく見てみると、苺の色にも見えるね。これ」
茶色いココアと混ざり合うように、苺ジャムの色がそこにあった。
私は一口飲んでみる。
「ん……美味しい!!」
感激した。とても、口当たりの良い味だったから。
「チョコと苺って相性良いもんね。ヘーゼルナッツもやっぱり美味しいの?相性が良いのは同じじゃない?」
ゴクン…と一口をゆっくりと飲んだ竈門くんは、はい…と噛み締めるように頷いてくれた。