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恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)

第30章 今日書くの、やめても良いですか? / 🎴


「なあ」
「はい、何でしょう」
炭治郎は今一度、天元の前で姿勢を正す。

「お前、プロの作家に1番必要なもんって何かわかるか?」
「1番必要…ですか?」

彼は顔をしかめて考え始める。

「時代に合ったもの、読者が求めているものを書く事でしょうか」
「お、及第点。でも模範的な考えだな。それは当たり前の事だ」

「申し訳ありません、俺にはこれ以上の考えは思い浮かびません…」

新米編集者は頭を下げた。一体何なのだろう。顔を下に向けている間にも彼はひたすら考えを巡らす。
そんな彼に編集長は言う。


「楽しい時はもちろん、自分が苦しい時でも最高と言える物を書く。これが1番大事な事だな。俺は派手にそう思うぜ」











『読者に作家の心情なんざ、全然関係ねーんだよ。作家の家族が今にも死にそうな時だろうが、作家自身が振られて落ち込んでようが、とにかく書く事だ』

『俺達は本と言う媒体を世に出す責任がある。作家のモチベーションを上げるのも編集者の仕事の範疇だ』

『とにかく沢渡七瀬に書かせろ。頼んだぜ」

………………とにかく書く、か。

炭治郎は出版社を出ると担当作家の自宅に向かう為、最寄りの地下鉄の駅に繋がる階段を降りて行った。


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