恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第29章 夕暮れネイルに色香のeyes / 🔥✳︎✳︎
全部のせ終わり、小皿をベッドの棚に置く。
視線を物凄く感じるが、彼の顔が見れない。顔まわりの表面温度はどれぐらいなんだろうか。とにかく熱いのは間違いない。
再び深呼吸を一回。
意を決して、彼の親指を口に含むと甘酸っぱい苺の味がした。
「ん…」
杏寿郎さんからこぼれる声が、とても色っぽい。
その艶やかな響きを聴きながら、人差し指から小指に載っているジャムを絡め取って行った。
「ふう……」
私は彼の胸に顔を埋める。
「物凄く緊張しました……」
頭上からはフッと笑う彼の声が聞こえた。
「とても可愛かった」
その言葉と一緒に、おでこに一回口付けが当たる。
「んー…ありがとうございます…」
「七瀬」
「はい…」
上を見上げれば、彼が私の両頬を包んでくれた。綺麗な朝日の双眸の奥に宿る悪戯心。
「足も良いだろうか?」
「……はい??」
「あまりじっくりと見る事がなかったが、ここも君は綺麗だな」
「ん…そうですか?」
彼が今度は私の足の指にネイルを塗ってくれている。
最近ペディキュアは夏しか塗っていなかったので、寒い時期に塗るのは久しぶりのような気がする。