恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第29章 夕暮れネイルに色香のeyes / 🔥✳︎✳︎
右足が終われば、続いて左足も丁寧に塗ってくれる。
恥ずかしくてあまり見れなかったけど、顔を上げる度に恋人の茜色の指先が視線に入り、私は高まる胸の鼓動と葛藤していた。
「よし、これで終いだ」
彼がハケを容器に閉まって、ベッドの棚に置く。
「また顔が赤いぞ」
左頬が大きな掌でゆっくり撫でられる。
「だって杏寿郎さんの色気が溢れているんですもん…それは赤くもなります」
そうか…と小さく笑って、恋人は唇に口付けをくれた。
「また赤くさせてしまうかもしれないが…」
私の右足の茜色に口付けを落とす彼。
「いいか?ここにも……」
「……………はい」
心臓がショートするまで、後……1分。
杏寿郎さんは指先と同じようにストロベリージャムを足先にちょん、ちょんとのせて行く。
「七瀬」
「はい…」
空になった小皿が棚に置かれると、緋色の双眸が真っ直ぐ私の目を見据える。
「……落とすなよ?」
「ん……や……」
熱い舌が足先のジャムを絡め取って行く。
「こら…動くんじゃ…はあ…ない」
「だってこれ……あ…やん……」
「ん…これで終わりだ…」
小指から響くリップ音に胸の奥がきゅう…となった。