恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第29章 夕暮れネイルに色香のeyes / 🔥✳︎✳︎
「まだ言っていなかっただろう?」
彼は自分の首に回っている私の腕を自分の顔の前に持って来る。
「夕暮れ色のネイル、とてもよく似合っている」
杏寿郎さんからうっとりする程の優しい雨が、自分の爪に落とされた。
「緋色、橙色、青柳色、群青色…と色々君のネイルを見て来たが…俺は茜色が1番好きだ」
顎をそっと取られて、唇にも優しい雨が落ちる。
「……ありがとうございます」
ふふっと笑った私からも彼にキスを贈った。
啄み、舌を絡め、歯列をなぞりあった後はふと何かを思いついたのか、彼が突然寝室から出て行く。
どうしたんだろう……?
待つ事5分。恋人が小皿を手にして戻って来た。
「それは……?」
「うむ、これを指先に上乗せしたらどうなるかと思い、持って来た!」
「上乗せ……」
小皿の上には私と彼の爪に載せられている茜色のようなジャムがそこにある。
「よもや…?」
「そのよもやだ」
杏寿郎さんがストロベリージャムを人差し指に少し取ると、私の爪先にちょん、ちょんと載せて行く。
「え、杏寿郎さん??」
親指から小指まで右手の全部にジャムを載せ終わった後、彼はまず私の親指を口に含んだ。
「あ…んん」