恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第29章 夕暮れネイルに色香のeyes / 🔥✳︎✳︎
「…………!!」
朝日のような杏寿郎さんの双眸。そして、彼の爪を彩っている夕日。2種類の日輪に私はこの日1番、心臓が跳ね上がった。
「どうした?七瀬?」
ネイルが乾いたのか、自分の左手をそっと私の右手に絡めてくる彼。
「いえ…杏寿郎さんがいつにも増してすごく色っぽいなあと」
「そうか?」
そのまま自分の爪先に載っている夕暮れの太陽に一つキスを落とされた。
「ん…」
その後は真っ赤になっているであろう私の顔にもキスが降って来る。
おでこ、両瞼、鼻、両頬……と辿って、最後は唇にちゅっ…とかわいい口付けを落とされた後は左頬をゆっくりと包まれた。
「久しぶりに揃いの指先だな。俺も嬉しい」
彼の左手が私の右手に絡めば、10個の茜色がきらっと光る。
心臓の鼓動がまた速まって来た。
「このまま続けよう」
「んぅ……」
彼からのキスが始まりの合図になり、そこからまた生まれたままの姿になる私達。
「どうしたんですか?」
仰向けになっている私の体の横に両肘をついて、上から見下ろしてくる彼。
「いや……先程言うのを忘れていた事があってな」
「言い忘れ…?」
「うむ」