恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第29章 夕暮れネイルに色香のeyes / 🔥✳︎✳︎
「素直な君はやはり一段とかわいい」
彼の唇が綺麗な弧を描いた、と思えばそれが私の唇にゆっくりとまた押し付けられた。
杏寿郎さんがくれるキスはとても気持ちが良い。”先に進んで大丈夫” その合図を彼に送ると、頭上から当たっていたシャワーが止まる。
「杏寿郎さん……?」
彼の顔が私から離れて行く。
「続きはここではなく…」
“ベッドで”
左の耳元で囁かれた私の中心がきゅう……と甘く締まった。
★
体を拭いて頭を乾かした私達は、裸のまま寝室へ向かう。
暗い部屋にほんのりと照らしてくれるベッドに併設されている間接照明。
横抱きにされていた私は、洗い立てのシーツの上にゆっくりとおろされ、優しく左の掌を掴まれた。
「今日はネイルを塗っていないのか?」
少し残念そうな顔をしながら、私の爪先を確認する彼。
「あ、はい。急いで出てきちゃったから塗る時間がなくって。だからここで塗ろうと思って持って来ました」
そう答えると、とても嬉しそうに笑ってくれた。
「……久しぶりに君に塗っても良いだろうか?」
「え…それはもちろん構いませんけど……」
大正の時代、2人で出かける時によく塗って貰っていたのを思い出した私は、胸がドキドキとしてくる。