恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第28章 アオイハル、跳ねる / 🌊✳︎✳︎
「コーヒーが良い」
私の体がくるっと彼の方に回された。
「その前にお前も欲しい…」
「ん……」
冷蔵庫にトン、と優しく押し付けられて右手に彼の手が絡められた。左手は私の右頬をゆっくりと包む。
義勇さんはキスが好きなのかなあと思う。寡黙であまり話さない分、気持ちをキスに込めてくれるような気がする。
「七瀬… ん…口を開けろ…ああ、そうだ」
浴室でシャワーを浴びながらかけてもらった言葉と全く同じ調子で義勇さんが言って来ると、さっきの交わりの様子が頭の中に思い出された。
「はあ…義勇さん……気持ちい……」
“キスだけで感じれるのって相性が良いって事じゃない?”
こう言っていたのは誰だったか。
昼食を食べ終わった後、その場にいた女子数人で恋バナをしていたらその中の1人がそんな事を言った。
私と同じように四つか五つ年上の彼氏がいる女の子だ。
彼の唇は歯列を辿り、優しい啄みを繰り返していく。
「ぎゆ……さ…立ってるの…辛いよ」
「わかった。行くぞ」
スッと唇が離れたかと思うと、義勇さんは私の脇下と両膝下に腕を回して姫抱きにした。
キスだけで蕩けてしまった私は、彼の胸に頭を預けて、そのまま寝室へと連れて行ってもらう。