恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第28章 アオイハル、跳ねる / 🌊✳︎✳︎
「………美味い」
静かに発せられるその一言を聞いて、ほー……と安堵の息をついた。
「良かった…体が覚えててくれて。じゃあ私も頂きます」
鮭大根を箸で一欠片取って口に運ぶ。うん……!上手に出来た!美味しい………。
「………赤だしの味噌汁も美味い」
「ありがとうございます」
お味噌汁の具はなめことお麩ととうふ。
赤出汁の味噌汁に入れるオーソドックスな具の面々。
黄色いたくあんはスーパーで買っているお気に入りのもの。
漬物があまり得意ではない私が唯一食べれるのがこれだ。
「…………」
「…………」
殆どが無言の彼との食卓。だけどこの沈黙が凄く心地よい。
大正の時もこんな感じだったなあ、と思い出しながら彼との夕食を楽しんだ。
★
「これで最後だ」
「ありがとうございます」
食べ終わった後は2人で食器洗い。彼が洗って私が拭く、と言う役割は前世から変わらない。
「義勇さん、コーヒーにします?紅茶にします?」
食器を拭く作業が終わったので、彼にどちらが飲みたいかを聞く。
「私は紅茶の気分なんですけど、義勇さんはやっぱりコーヒーですか?」
ひとまず冷蔵庫からコーヒーの粉を出そうと探していると、彼が私を後ろからそっと抱きしめてくれる。