恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第28章 アオイハル、跳ねる / 🌊✳︎✳︎
「ん……苦し…」
「すまない、あと少し…はあ…このまま…」
キスをしばらく堪能した後、彼は昂りを外に発散させた。
「七瀬、また後で頼む…」
ドキッとするような事をさらっと伝えた義勇さんは、先に浴槽から出て体を拭き始める。
私は彼が体を拭き終わっても、なかなか浴室から出れなかった。
言われた言葉を体に染み込ませて、体が拭けたのはそれから10分経ってからだった…。
—— 30分後。
ダイニングテーブルにほくほくとした湯気が上がっている鮭大根、白ごはん、赤だしの味噌汁、たくあん、ポテトサラダがずらっと並んでいる。
ここは義勇さんが住んでいるマンション。私だけではなく、彼も前世の記憶を取り戻したのがつい1ヶ月前。
なのでさっきのように体を見せあってのやりとりは、今世では初めてと言う事になる。
「いだだきます」
席に座り、2人の声が揃うと、しばらくは沈黙の時間が続く。
義勇さんがまず手につけるのは大好物の鮭大根。
私は味噌汁から。
「…………………」
彼は食べながら話すと言う事がとても苦手なので、完全に口の中が空にならないと言葉を発する事が出来ない。
だから食事中はいつにも増して静かな時間。
ゴクン、と彼の喉が動いた。
「味付け、どうでした?記憶を辿りながら作ったんですけど、あまり自信が持てなくて……」