恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第27章 炎柱から次期鳴柱への就任祝い / 🔥
「雷の呼吸 壱ノ型」
普段の善逸からは考えられない、落ち着いた声色。
「———霹靂一閃」
そして、雷鳴が轟くようなとても力強い踏み込み。
善逸は壱ノ型しか使えない。
しかし、一つだけしか使えないからこそ極めているんだよなあ……。
チン、と雷刀が鞘に納まった時にはもう鬼の頸は跳ね上がっており、頸から上がない胴体と一緒にサラサラ…と粒子に姿を変えながら形を消していく。
「善逸!」
俺はふらっ……と前方に倒れていく体を急いで走って行って受け止めた。
「むにゃ…巧さん、鰻また食べたい…」
「たくっ……しょうがねー奴」
食い意地が張った寝言を聞いた俺は脱力しそうになる。
……お前は本当に凄いよ。善逸…
悔しいから、絶対言わないけどな。
それから俺は善逸を背負ったまま、仲間と恋人が待つ自宅へと帰った。
あの日から5日後の事、場所は再びあの蕎麦屋だ。
「で?どうだった?鳴柱」
俺の目の前でニヤケが止まらない、と言った表情でこちらを見ているのは宇髄さんだ。
音柱……その派手な見た目で、一部の隊士達からは”派手柱”の通り名で呼ばれている。