恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第27章 炎柱から次期鳴柱への就任祝い / 🔥
〜巧エンド〜
「ねえ、巧さん。本当に行くの?」
俺に後ろから声をかけて来た黄色頭の隊士は、我妻善逸。同じ雷の呼吸の使い手で、2期下の後輩だ。
「当たり前だろ。炭治郎と伊之助は早朝帰って来てから、そのまま寝た。七瀬はこの手の物は大の苦手。1人で行くのも寂しい。お前は非番。だから同じく非番の俺と一緒に行く」
「それ、無茶苦茶な理論じゃん。俺だって怖いの苦手なのに…」
……全く。
こいつはこう言う時、本当に冷静に意見を発して来る。任務に行く時はあれだけ、逃げ腰だって言うのに…。
「善逸。鰻、食いたいだろ?」
「ずっりーな!それ言うと俺が断れなくなるの知っててさー!」
「ずるくて結構。ほら、行くぞ」
ちぇー……としぶしぶ俺の後をついてくる善逸。
こいつのこう言う所、亡くなった弟に本当にそっくりだ。生きていればちょうど善逸と同じ歳。
そして善逸は育手こそ違うけど、同じ呼吸の使い手。
だからついつい、兄貴風を吹かせてしまう。吉沢さんが俺に対して感じていた気持ちってこんな感じだったんだな。
懐かしくなってつい含み笑いをしてしまう。
「巧さん?どうしたの?」
善逸が訝しげに俺を見ている。それはそうだ。今から行く場所を考えたら全く笑っている場合ではないのだから。