恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第27章 炎柱から次期鳴柱への就任祝い / 🔥
「吉沢さん!もう少しで隠が来ます!頑張りましょう…!」
「う…はあ…いてぇ…」
砧村の氷川神社。彼が任務に派遣された場所だ。吉沢さん以外に向かった隊士が全員負傷。近くにいる隊士は至急応援を…との事で見回り中、氷川神社の1番近くにいた俺がここにやって来た。
鬼の気配は既になし。しかし念のため、いつでも抜刀出来るように、俺は鯉口を切りながら境内を見回していく。
伝令の通り、隊士全員が横たわっている。みんなそれぞれ負傷していて、呻き声をあげていた。
吉沢さんは?……伝令によると、彼の情報はなかった。一縷の望みを託して辺りを探っていると、神社の賽銭箱近くに仰向けになっている隊士を見つけた。
吉沢さん………!
一目散に駆け寄る。
「桐谷……?」
彼が自分を弱々しい声で呼んだ。
腹部からだらだらと流れ出る血液。素人でもわかる。止血しても到底止められない量の血が彼の周りを赤黒く染めていた。
「どうしてあなたがこんな事に…嫉妬や妬みとは無縁でしょう?」
俺から見た吉沢さんはそういう人だ。そう思っていたのだけど…
「はは…そう見えたのなら…はあ…俺の演技も大した…もんだ」
「え……?」