恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第27章 炎柱から次期鳴柱への就任祝い / 🔥
「よし、行くか」
蕎麦もかき揚げも全て食べた俺達はご馳走様でした、とお店の大将にお礼を伝えて店を出た。
「吉沢さん、ご馳走様でした」
「ああ、柱に就任したら今度はお前の奢りな?」
「はい!」
「お前、今日の任務は?」
「俺は風柱と一緒に警備地区の見回りです」
「うわっ、災難だなー、俺あの人苦手…」
まあそう言うよな。風柱の普段の様子からすると…。
でも……彼は優しい。これを知っている隊士は果たしてどれくらいいるのか。
「俺は砧村の氷川神社だ。なんでも幻術が得意な鬼だそうだ。人の弱みや嫉妬…そう言うものを利用して、人間同士を殺し合わせたりするらしい」
「嫉妬……ですか」
「ああ。嫌な任務だよ。まあ任務に良いものはないけどな…」
「桐谷」
曲がり角に来た所で名前を呼ばれた。
「いや……鳴柱」
「就任はまだですよ?」
気が早いな、と思って俺は吉沢さんにそう言う。
「自覚持たせてやったんだよ、感謝しろ」
「はは、何ですかそれ……」
「またな」
「はい、また」
彼は右手を挙げて俺とは反対の方向に走って行った。
“またな…”
当たり前のように交わされるこの挨拶。俺はこれが当たり前ではない、と言う事を改めて実感させられてしまう。
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砧村.........現在の東京都世田谷区喜多見