恋はどこからやって来る?/ 鬼滅の刃(短編・中編)
第23章 秋 in 恋愛 / 🌊
キーンコーンカーンコーン……。
予鈴が職員室に鳴り響く。
「おい、お前何時間目から行くんだァ?」
「あ、私1時間目からだ。行ってくるね!」
話に夢中になり、すっかり忘れていた七瀬は急いで準備をし、忙しなく職員室から出て行った。
「全く相変わらずだなァ」
「……知り合いなのか?お前達」
義勇はデスクに着席した実弥に質問をする。
「ああ、幼稚園から中学まで一緒でなァ。幼馴染ってやつだ。どうした、冨岡ァ。気になんのかァ?」
「………………………」
「てめェ、無視かよ!殺すぞォ!」
考え事をしているのか、実弥の声が全く届いていない義勇は彼のツッコミにも無反応だ。
『………感じは良い先生だったな』
彼女が出て行ったドアをしばらく眺めていた義勇は、ふっと何かを思い出したように立ち上がる。
そして竹刀を手にして、職員室の窓から校庭を見た。
そこには黄色い頭をした、とある男子生徒がいる。
『我妻……』
「おい、あいつはやめとけェ」
「…………?」
『何の事だ?』
実弥が言おうとしている事に全く検討がつかない義勇。
「この学校の赴任期間が終わったら、結婚すんだよ。俺も式に来てくれって呼ばれてる」
『結婚……』
この時、義勇の心がほんの少しだけ跳ねた。